研究概要 |
1.滑膜肉腫細胞株(SYO-1),軟骨肉腫細胞株(OUMS-27)に対する光線力学療法の効果の検討 (1)ATX-S10・Na(II)を用いた光線力学療法による細胞形態の変化の蛍光顕微鏡下の観察 SYO-1細胞,OUMS-27細胞ともにATX-S10・Na(II)に暴露後にレーザー照射を行った場合に核の濃縮,分裂像が観察された.またTUNEL染色で陽性細胞が観察され光線力学療法による細胞死にapoptosisが関与することが示唆された。 (2)細胞死がApoptosisによるものかNecrosisによるものかの検討 Caspase assayを行った。SYO-1細胞では低濃度のATX-S10・Na(II)に暴露された方がレーザー強度にかかわらずCaspase活性が高く,ATX-S10・Na(II)の高濃度の場合に比べapoptosisが起こる傾向にあることが示された。OUMS-27細胞でもCaspase活性の上昇が認められたが,高濃度,低濃度の場合で優位な差は認めなかった。 2.ヌードマウス皮下腫瘍{滑膜肉腫細胞株(SYO-1),軟骨肉腫細胞株(OUMS-27)}に対する光線力学療法の効果の検討 (1)in vivoにおける腫瘍内へのATX-S10・Na(II)の取り込みの経時的変化 SYO-1細胞およびOUMS-27細胞担癌マウスの尾静脈よりATX-S10・Na(II)注射後,3時間でATX-S10・Na(II)の蛍光は観察されたが6時間以降では観察されなかった。 (2)光線力学療法後,腫瘍の縮小効果および腫瘍の増大速度抑制が認められた。組織学的にはレーザー照射群で壊死,繊維化した部分が観察された。 これらの結果より、ATX-S10・Na(II)は骨軟部腫瘍治療に有用である可能性があり、今後臨床応用へ向けての更なる実験を行う予定である。
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