研究概要 |
Small interfering RNA (siRNA)の導入効果をin vitroで検討した.DAラットの腹腔内に2.4%チオグリコール酸溶液を注入し,72時間後に腹腔内マクロファージを回収した.Cy3で標識したGAPDH-specific siRNAをsiPORT Amineを用いてマクロファージに導入した.48時間後,siRNAのマクロファージへの導入効率は100%であった.Primary cultureのヒトリウマチ滑膜細胞およびウサギ軟骨細胞に対しても同様にsiRNAの導入は可能であった. 次に関節組織へのsiRNAの導入法を検討した.われわれは以前に非ウイルスベクターによる遺伝子導入法として,経皮的に膝関節に電圧を負荷して滑膜に高率に遺伝子導入を行うin vivo electroporation法を確立した.本研究では,in vivo electroporation法を用いたラット膝関節内へのsiRNAの導入効果を検討した. FAMで標識したGAPDH-specific siRNA(800pmol,40μl)および導入試薬siPORT Amine(10ul)をDAラットの膝関節内に投与後,経皮的にelectroporation(150V,100ms-on,900ms-off,前後左右2回刺激)を施行した.導入24時間後,および72時間後に蛍光実体顕微鏡でsiRNAの局在を確認したところ,導入24時間後,ラベルしたsiRNAは関節内滑膜組織に一致して観察された.導入72時間後にはラベルしたsiRNAを観察することはできなかった.関節軟骨への導入は確認されなかった.導入した関節滑膜からtotal RNAを採取しRT-PCRを施行した.GAPDH-specific siRNAを導入した滑膜組織においては無処置の滑膜組織と比べGAPDHの発現は減少した. 本研究の結果では関節内へ投与したsiRNAは関節内滑膜組織に局在していた.In vivo electroporation法を用いることで,関節内に直接投与したsiRNAを関節滑膜ヘ高率に導入できた.siRNAの関節滑膜への導入は関節リウマチの病態解析および治療に有用である可能性を示した. 今後関節リウマチの病態形成に関わっているTNF-αに対するsiRNAを関節内に導入し治療効果を検討する予定である.
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