研究課題/領域番号 |
15790843
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
泌尿器科学
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
沼田 篤 旭川医科大学, 医学部, 助手 (00250564)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2004年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2003年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 排尿抑制部位 / 中脳中心灰白質 / biocytin / GABA / 橋排尿促進部位 |
研究概要 |
これまで電気刺激で中脳中心灰白質(PAG)の吻側背側に排尿を抑制する部位を認め、その神経線維連絡と神経伝達物質について検討してきた。前回の報告のように、橋排尿促進部位(PMC)にFluoro-Goldを微量注入し、逆行性標識されたPAGの神経細胞をGABAで二重染色する試みは失敗した。また今回、PAGの排尿抑制部位にbiocytin(順行性のニューロトレーサー)を注入し、さらに仙髄の電気刺激で膀胱収縮を誘発する部位にHRP(逆行性のニューロトレーサー)を注入し、PMCでの両者のシナプス結合を電子顕微鏡で観察しようと試みた。しかし、電気刺激で何回も仙髄を穿刺した後ではHRP漏れてしまい思うように橋まで染色されなかった。 一方、biocytinは神経細胞体に取り込まれ、神経終末を標識するが、PAGの排尿抑制部位にbiocytinを注入し、biocytinと親和性の高いstreptavidinを結合させた蛍光色素のAlexa Flour【◯!R】R488で染色し蛍光顕微鏡で観察した。吻側橋被蓋部の三叉神経中脳路の内側に多数の発色を認め、この部分はPMCに一致するため、PAGには排尿抑制の神経細胞体が存在し、PMCを直接抑制している可能性が示唆された。 さらに、PAGの排尿抑制部位に興奮性アミノ酸であるN-methyl-D-aspartate(NMDA)を微量注入すると自律性膀胱収縮は完全に抑制された(電気刺激では神経細胞体ばかりでなく、神経線維も刺激してしまう。興奮性アミノ酸は神経細胞体を刺激するが、神経線維は刺激しない。)。 以上より、前回の検討を加えてまとめると、吻側PAG外縁背側には膀胱収縮を抑制する細胞体が存在し、直接にPMCを抑制し、その神経伝達物質としてはGABAが一部関与している可能性が示唆された。吻側PAG外縁背側の排尿抑制部位についての報告はこれまでなく、投稿準備中である。
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