研究概要 |
1.In vitro study まずin vitroにおいて、ベクターの持つdirect cytotoxicityの評価と、あわせてIL-I2secretionの定量を行った。178-2BMAマウス前立腺癌細胞を24-wellプレートで培養し、種々のMOIでベクターをトランスフェクションさせたのち、その細胞数の変化を経時的にカウントして、細胞毒性を評価した。その結果、200MOIまではdirect cytotoxicityを認めない結果であった。また同時に培養液の上澄みも回収し、ELISA法を用いてIL-12の産生量を定量し(BioSource International,Camarillo,CA)、至適MOIの検索をおこなった。その結果、100MOI以上においては、IL-12の産生量に明らかな差を認めず、同MOIが至適であると考えられた。次に遺伝子導入癌細胞ワクチンにおける腫瘍表面抗原発現の同定として、フローサイトメトリー解析によって、それぞれ、遺伝子未導入群、コントロールベクター(Ad/CMV/β-gal)導入群、IL-12遺伝子導入群、IL-12+B7-1遺伝子導入群での細胞表面抗原の発現の比較を行った。その項目としてMHCclassI,classII,B7-1(CD80),B7-2(CD86)(Phar Mingen,San Diego,CA,USA)の発現について、それぞれの検討を行った。 2.In vivo study In vitroで同定された至適ウイルス濃度(100MOI)を用いて、178-2BMA細胞にIL-12,およびIL-12+B7-1遺伝子を導入したのち、24時間後に同細胞に対して100Gyの放射線照射を当てたものを腫瘍細胞ワクチンとして用いて、検討を行っている。治療群はコントロールであるHBSS群、コントロールベクターAd/CMV/β-gal)導入群、IL-12遺伝子導入群、IL-12+B7-1遺伝子導入群の計4群とし、一回のワクチン接種細胞数は1.0x10^6/100μlとして設定した。また最終的な結論は得られていないが、IL-12,およびIL-12+B7-1遺伝子導入群の双方において、局所腫瘍重量、ならびに肺転移数について、有意な抗腫瘍効果を認めており、そのCTL誘導も含めた機序の解析を行っている。
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