研究課題/領域番号 |
15790960
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
関 良武 聖マリアンナ医大, 医学部, 助手 (90329285)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2005年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2004年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
2003年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
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キーワード | 前庭動眼反射 / 固定音源 / 視覚-前庭矛盾刺激 / 適応現象 / 時定数 |
研究概要 |
ヒトで視覚-前庭矛盾刺激をどの程度の時間与えたら適応現象が獲得できるのか、またその時の前庭動眼反射の利得と上昇する過程には指数関数的な時定数が存在するかどうかを検討してきたが、今年度はさらに前庭動眼反射系に音刺激を加えてその音刺激が視覚刺激による反射系を賦活できるのかどうかを検討した。 方法:年齢25歳から43歳(平均30.7歳)の健常成人8名のボランティアを被験者とした。被験者全員について、神経学的既往症はなく、神経学的、耳科学的なスクリーニング検査において正常であった。眼球運動は銀皿電極で記録した。被験者を回転台に頭部を正面に向けた状態で固定する。回転椅子は最大角速度5、10、20、40度/秒で振子様に回転する。環境は暗所開眼、固定音源を与えた状態、それを消音して固定音源の位置をイメージさせた条件、LEDを固視させた状態、LEDを消灯してその位置をイメージさせた状態での5条件で前庭動眼反射を測定した。実験の最中は赤外線カメラで被験者を観察した。記録したデータは独自に開発した解析ソフトを用いて、前庭動眼反射の利得と位相を解析した。 結果:固定音源による聴覚刺激の音源の注視、固定音源の想起ともVORの利得と位相に影響を与えた。音源提示、音源想起に見られた影響は光点提示条件と光点想起条件で見られた影響に類似していた。利得についてはすべての視聴覚指標の提示および想起の条件において暗条件よりも大きい傾向が見られた。音源提示条件および音源想起条件においては光点提示条件および光点想起条件のどちらに比べても利得の個人差が大きかった。分散分析の結果、実験条件により有意な差が見られた(p<0.01)。一方、椅子の回転周波数については有意な差は見られなかった(p【greater than or equal】0.05)。また、実験条件と椅子の回転周波数の間に交互作用は見られなかった(p【greater than or equal】0.05)。 考察:本研究において、固定音源による聴覚刺激と音源の想起は、視覚刺激と同様にVORの利得を増大させる傾向が見られた。また、回転速度が低い場合には位相の進みが見られることが確認された。 まとめ:固定音源の聴覚刺激および音源位置の想起によるVORへの影響を検討した。固定音源による聴覚刺激はVORの利得と位相に光点の想起と同様の影響を及ぼし、音源想起についても利得には有意な効果は認められなかったが、位相は光点想起と同様の進みが見られた。これにより、聴覚による空間識が視覚刺激と同様にVORに影響を及ぼし、眼球運動の遅れを補償する運動予測の系に働きかけることが示唆された。
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