研究概要 |
1,平成15年度に続いてさらに4例のMALTリンパ腫から磁気細胞分離を行った。これら腫瘍はすべてCD20陽性CD10陰性であったので、腫瘍細胞のpurityを上げるためCD20抗体、Ig短鎖(κまたはλ)抗体の二重、うち2例ではさらにCD10(陰性)を三重に用いて分離し、細胞数8万〜25万個から1%血清添加RPMIで培養を開始した。昨年同様24時間時点で培養液中にクローナルなIgは検出されず、この時点で同じ腫瘍からCD3磁気細胞分離で得たT細胞をMALT-B細胞の1/10細胞数混入させたところ培養液中Ig濃度は増加したが72時間時点でもクローナルなIgは検出されなかった。また細胞数は培養開始時の0.8〜1.6倍であった。MALT-B細胞の増殖能が低く、また多抗原の抗体を使用すると細胞活性が低下する可能性が考えられた。またMALT-B細胞は混入する非腫瘍性B細胞よりIg産生能がかなり低いと考えられた。 2,これら培養MALT-B細胞を回収し、2例でSCIDマウスの背部皮下に接種した。昨年度2週間後に明かな腫瘤形成がみられないため4週間、8週間まで延長して組織を採取したが、免疫組織化学でヒトCD20陽性細胞集団を確認できるもののやはり腫瘤形成はなく、8週間後では逆にヒトCD20陽性細胞の率は低下して固形腫瘍の存在は不明瞭となっていた。別の2例ではマウス結膜下に接種したが、評価可能(1mm以上)の腫瘍形成には至らなかった。
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