研究課題
若手研究(B)
アクアポリン(AQP)5蛋白質は合成された後、細胞膜へ移動して機能する蛋白質であるが、どの過程で発現・分解調節を受けているのかを検討するために全長のAQP5遺伝子のN末またはC末にGFP融合蛋白を発現するVectorを作成しstableに発現する細胞株を樹立した。この細胞株でのAQP5の細胞膜への移動調節能を検討したところ、未刺激下ではAQP5のN末にGFPを融合させた場合(GFP-AQP5)は細胞質内で発現するが、C末に融合させた場合(AQP5-GFP)は細胞膜で発現しており、発現の局在が異なることを見いだした。これは同じAQP familyであるAQP2でも同様の報告がされており、これらの蛋白はC末領域に結合する蛋白により細胞膜への移動調節を受けている可能性がさらに強く示唆された。また、GFP-AQP5はdbcAMP刺激により細胞質内から細胞膜への移動が認められ、さらにPKA阻害剤であるH-89によりその移動が阻害されたことから、AQP5の細胞膜への移動にはPKAが関与していることを明らかにした。自然発生的に顎下腺細胞膜特異的にAQP5蛋白質の発現量が低いラットおよび正常な発現量のラット顎下腺から抽出したRNAを用いて2つの組織間で異なる発現をする遺伝子のスクリーニングをRepresentational Difference Analysis法により行ったところ、既知のセリンプロテアーゼ系酵素が同定された。このAQP5の発現量が低い顎下腺細胞膜蛋白抽出物と正常な発現量の膜蛋白抽出物を混合してインキュベートした際に総AQP5蛋白質量が減少すること、またAQP5のmRNAの発現量は同程度であることから、AQP5蛋白発現量の低い顎下腺では、今回検出した酵素がAQP5蛋白質の分解に関与している可能性が考えられた。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (1件)
Biochimica et Biophysica Acta (in press)