研究概要 |
本研究は,オッセオインテグレーション成立後のインプラント周囲海綿骨のバイオメカニックス特性の変化を明らかにすることでオッセオインテグレーション成立後のインプラント周囲骨構造を予測できるシステムを開発するその一端を担うことを目的としている。前年度,海綿骨のバイオメカニックス特性の変化を評価するために,目的とする骨のマイクロCT画像から有限要素モデルの作成を行うことを可能とするべく,マイクロCT画像の最適な二値化の閾値の設定を明らかにした。また,実際の臨床応用に備えて,マイクロCT画像以外に口内法X線画像による検討をも行うために,口内法X線の現像処理と二値化後の画像から得られる評価パラメータとの関係を明らかとした。 本年度は,動物実験としてビーグル犬を用い,インプラント埋入直後から1週ごとに口内法X線写真撮影を行い,その画像解析より得られた評価パラメータの変化を追うことで,インプラント埋入後の周囲骨構造の変化を経時的に観察できるか否かを検討した。その結果,評価パラメータのうち,骨梁数,骨梁面積および骨梁周囲長はインプラント埋入1週目から3週目にかけて増加し,1週目と3週目には有意差が認められた。このことより,これらの評価パラメータはインプラント埋入後に生じる周囲骨構造の変化を見る上で有効な評価パラメータであることが明らかとなった。さらに,口内法X線写真から得られた評価パラメータの変化を追うことで,インプラント周囲骨構造の変化を経時的に観察できる可能性が示唆された。
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