<研究実績の概要> 高齢者の増加に伴い、要介護高齢者も増えそのような患者に対しての口腔ケアに関して多くの研究が発表されている。以前我々は、要介護高齢者の口腔ケアの一貫に舌ブラシを導入した結果、Candida菌数が明らかに減少し、味覚、発音の改善、唾液量の増加、口腔清涼感と健康の自覚が得られた。 高齢者では多くの疾患に罹患していることが多く、要抜歯の歯に対しても抜歯することができない症例も少なくない。そのような状態の歯においては補綴処置が施されるが、患歯の口腔ケアは本人、介護者によるプラークコントロールは行いにくいかもしくは患歯が存在することを認知してなく、患歯の歯周炎による歯肉の腫脹を疼痛として訴える症例も存在する。このように、高齢者の口腔内に存在するコーピングが装着された歯の清掃状態は決して良好なものとはいえない。そこでコーピングが施された患歯に対して、本人、介護者が清掃しやすい清掃器具を利用することにより、高齢者の生活の質のレベルアップを期待することを本研究の目的とした。現在までは以下のような実績が得られている。 ・患歯の歯肉腫脹やプラーク残存部には細菌が関与しているため、患歯の歯肉腫脹部、プラーク残存部の細菌採取をしたところ細菌の確認が得られた。 ・コーピング清掃に適すると思われる市販のブラシを収集し、患者に使用していただき形態学的分析した結果、最もコーピング清掃に適すると思われるブラシを選択した。 今後は、選択されたブラシによるプラークコントロールの効果について、評価を加える所存である。
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