研究課題
若手研究(B)
平成15年度〜平成17年度の試料提供に対して同意が得られたシェーグレン症候群(SS)患者17名から口唇腺生検組織、末梢血の採取を行い、これらを実験試料として用いた。また、コントロールとして健常人10名からも末梢血を採取し、実験試料として用いた。T細胞レセプター(TCR)遺伝子の定量的検査システムの開発を目的に、健常人およびSS患者の末梢血単核球(PBMC)より、RNAを抽出し、TCR遺伝子をPCR法とサザンブロットを施行した。その後、われわれがHTLV-I陽性SS患者から得た病変部で増殖しているT細胞のTCR Vβ7遺伝子CDR3領域の塩基配列(QDXG : Xは不特定のアミノ酸)に相補的なプローブを用いてハイブリダイゼーションを行った。その結果、健常人では1/10名で同塩基配列を有する特有のバンドが検出された。また、SS患者では10/17名において特有のバンドが検出された。これらの配列を有するTCR遺伝子の定量化を行うために、この配列に特異的な4種類のプライマーを作製し、健常人10名とSS患者12名に対してリアルタイムPCRにて定量化を試みた。4種類各々の遺伝子産物をTCR Vβ7遺伝子産物で除して補正した結果、健常人の平均値に比べて、6/12名において高い数値を示した。また、明らかに数値の高いものは臨床症状および口唇腺生検の結果では重度の症例であり、同配列を有するTCR遺伝子が多い症例ほど重症度が高い傾向にあった。