研究課題/領域番号 |
15791174
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
外科系歯学
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
蔵原 慎一 九州大学, 歯学研究院, 助手 (20304818)
|
研究期間 (年度) |
2003 – 2005
|
研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
|
配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2005年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2004年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
|
キーワード | 口腔扁平上皮癌 / 角化細胞 / 癌浸潤 / 遺伝子治療 / 口腔扁平上皮 |
研究概要 |
本研究は舌癌切除後に、種々の抗腫瘍遺伝子を導入した遊離分層皮膚を移植することによって、舌癌の再発・転移を予防することを目的としている。そのため、抗腫瘍効果が期待できるIL-4およびTIMP-1の遺伝子発現ベクターを作製して、植皮片に遺伝子導入し、担癌マウスを使って抗腫瘍実験を行ってきた。in vitroでの角化培養細胞への遺伝子導入効率は非常に高かったが、実際にヌードマウスから採取した皮膚片への導入効率は20〜30%程度であった。その導入効率の低さのためか、担癌マウスの抗腫瘍効果はみられなかった。それを改善するため、以下のように研究を進めた。 1)ヌードマウスから採取した遊離分層皮膚片へ、in vitroでHVJ-リポソーム法を用いて、IL-4およびTIMP-1を遺伝子導入した。ウエスタンプロット法と免疫染色法でその導入効率を調べると、いずれも発現の上昇を認めた。 2)次にGFP-IL-4とGFP-TIMP-1の遺伝子発現ベクターを作製し、ヌードマウスの分層皮膚片に導入した。GFPの発光を蛍光顕微鏡で観察したところ、GFP-IL-4では約30%の導入効率であったが、GFP-TIMP-1は60%以上の高い導入効率であった。 3)ヌードマウスの背中に口腔扁平上皮癌細胞株(SAS,HSC-2)を局注し、腫瘍形成できた個体において、腫瘍の一部を残すように切除し、その上からIL-4もしくはTIMP-1の遺伝子を導入した遊離皮膚を植皮した。植皮後20日で屠殺し、腫瘍抑制効果を光学顕微鏡で評価したところ、IL-4を遺伝子導入した個体では、コントロールと比べ有意な差はなかったが、TIMP-1を導入した場合は約8割において腫瘍の縮小・消失がみられた。 遊離分層皮膚へのTIMP-1の導入効率の向上により、マウスにおける腫瘍抑制効果が確認できた。これを応用すれば、舌癌切除後の腫瘍の再発・転移を予防することは十分可能である。
|