研究課題
若手研究(B)
歯の発生過程において、上皮-間葉相互作用は組織文化に重要な因子の1つである。また、その上皮-間葉間には基底膜のような細胞外マトリックスにより支持され、この細胞-細胞外マトリックスの相互作用の解明が歯の発生の理解のために重要と考えられる。我々の研究からは、3Dマトリックス上でのIntegrin-Fibronectinシグナリングにも2D同様にFAKの役割は重要、特に細胞の移動能に関して必要な分子である事が示唆された。さらに、新規3次元マトリックス培養法により、歯原性細胞を用いてマトリックス間葉組織の相互作用について検討した。方法としては、新規3次元マトリックス上で、歯原性上皮細胞および未分化歯原性間葉細胞を培養し、さまざまな基質でコートした2D上での培養細胞と、RT-PCRにより発現分子を比較した。その結果、歯原性上皮細胞でのアメロジェニン発現は3Dマトリックス上で増加・フィブロネクチン上で減少し、アメロブラスチン発現はフィブロネクチン上で減少、エナメライシン発現もフィブロネクチンで減少・3D上で増加が認められた。未分化歯原性間葉細胞では、デンティンシアロプロテイン発現は、3Dとフィブロネクチン上で減少・ラミニン1上で増加することが認められた。これらのことから、歯原性上皮細胞では、3Dマトリックス中のフィブロネクチン以外の基質によってアメロジェニン発現が増加することが考えられ、また未分化歯原性間葉細胞については、3Dマトリックス上では象牙芽細胞への分化は促進されなかったが、ラミニン1によって促進される可能性が考えられた。以上の結果は、細胞外マトリックスの組成をコントロールすることで、歯原性間葉細胞の分化誘導を行い、さらには人工象牙質作成の為の細胞培養法の確立の為の基礎知見となると考えられる。
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Arch Oral Biol (In press)
J Biol Chem 279(11)
ページ: 10286-10292