研究概要 |
平成17年4月〜12月までこれまでのデータを分析し,再度,研究協力者の協力を得てデータの検討を行った。その結果,熟練助産師のケアの分析にあたり,研究当初【技】として用いていたが【わざ】を用いて分析することが妥当であると判断し,再度,データを読み返し,分析を行っている。このような分析視点の変更に至った背景には、看護において【技】の定義が明確でなく,現象を捉えていく中で,データと文献を再度検討した結果,本研究の主旨である,「助産師のケアを分析し構造化をはかる」という点は,熟練助産師の【わざ】をいかにとらえるか(分析の視点)によって現象の理解が異なるため,【技】か【わざ】なのか,慎重に分析し,考察する必要があると判断したためである。 一方,本研究の初期段階の成果の一部について,オーストラリア・ブリスベンで開催されたThe 27^<th> Triennial Congress of the International Confederation Of Midwives Congress 2005で発表した。 分析途中であるが,熟練助産師のケアには,ケアを受ける対象者との間に時間・空間を越えて「つながっている」という感覚が生まれていることがわかった。その感覚は信頼感・安心感であり,ケアの基盤として形成されていた。これはエリクソンの発達段階にみられる「基本的信頼」のような位置づけであり,時に「歩みより」,「見守り」そして「語りあう」といった個々の状況に応じた両者の行動によって信頼が生まれていた。また,助産師の寡黙な一途な姿勢(眼力・立ち振る舞い・口調・表情等)や,多くを語らずとも五感を通して視診・触診から見抜いてしまうアセスメント能力といった,個々の助産師ならではの【わざ】に対象者が気づき,認めるとことによって信頼をさらに高めていたことがわかった。
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