研究概要 |
在宅療養生活を送る患者とその家族らが,直接的に医療者の援助を受けられない状況においても,安全かつ安楽な介護,そして生活上の安心を確保するために,療養者および家族介護者の求める情報を随時提供できるようなインフラの整備が必要である. 本研究は,IT技術を活用した遠隔看護システムの一部としてのCAI(Computer Assisted Instruction)教材開発を視野に含んでおり,その目的は,介護者の理解を促進させ円滑な介護の実践をもたらす情報配信システムのあり方を検討するための基礎的資料を得ることにある. 今年度は,学習効果を向上させるためのCAI教材のあり方についてさらに検討するために,以下の3点について実施した. 1.移動の援助技術に関する試作版CAI教材(Computer Graphics version)から,映像の死角となる部位(姿勢)および動作(動き)を特定し,それらが観察可能となる撮影方法等について検討した. 2.また,実験状況において,看護師が介護者役の人物に援助技術を指導する様子について解析し,エキスパートによる学習者の視点の意図的な誘導について分析した. 3.1,2より,学習者が援助技術を観察する際に有効と考えられる視点が含まれるように画像を設計し,その実写版教材を作成した.この教材による援助技術の学習と遂行を被験者に求める実験を行い,その結果を,これまでの既存の教材ビデオによる遂行成績と比較したところ,援助技術を解説するナレーションを伴わない場合においても,本研究で作成した教材の学習効果が確認された.
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