研究課題
特別研究員奨励費
2015年に東南アジア諸国連合(ASEAN)はASEAN共同体を立ち上げ、政治、経済、社会・文化の諸側面における域内統合を目指す。そうしたなか、ASEAN加盟国のなかでは、自国のアイデンティティとASEANとしてのアイデンティティの関係性を明らかにしようとする研究が、多様な学問分野のなかで行われている。本研究では、学校現場で生徒たちを対象とした聞き取り調査を実施することで、自国のアイデンティティとASEANのアイデンティティがどのような関係にあるのかを明らかにした。また、実際の研究においては、ASEANのなかでも後発加盟国であり、近年目覚しい成長を遂げているとはいえ経済的に未だ低水準にある3カ国(カンボジア、ラオス、ミャンマー)を主たる対象として行った。これは、他のASEAN諸国と比して、これら3カ国は社会経済環境が急速に変化するとともに、国内格差が非常に広がっており、アイデンティティのあり方においてもコミュニティ・レベル-国家レベル-地域(ASEAN)レベルの乖離が非常に大きいためである。そのような乖離が大きいからこそ、異なるレベル間のアイデンティティにみられるギャップや不整合といったことが、より明確にみえてきた。本研究を通して、主に後発アセアン諸国(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)におけるアセアン意識が学校教育のなかで一定の程度醸成されていることが、現地調査の結果からわかった。いずれの国も、政策的にアセアン意識を育むことの重要性を示すとともに、カリキュラムのなかで積極的にアセアン関連の教科・単元を増やしていることが判明した。しかしながら、同時に、学校現場においては必ずしもアセアン意識を醸成することの重要性は認識されておらず、教室内の教育実践のなかではあまりこの問題が意識的に取り上げられることが多くはないこともみえてきた。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Compare: A Journal of Comparative and International Education
巻: forthcoming 号: 2 ページ: 171-188
10.1080/03057925.2017.1313102
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The Palgrave Handbook of Asia Pacific Higher Education
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