1 研究の目的 本研究は、双方の人材育成と研修のシステムの相違について研究することを目的としている。 2 研究の方法 研修システム比較の視点から、公立学校長に対する聞き取り調査と在外教育施設フランクフルト日本人学校現地調査の2点を基に研究を進めた。 3 研究の成果 公立学校においては、初任者研修の一部を除けば人材育成に関する研修は、都道府県や市町村教育委員会が主催する研修プログラムを中心としており、校内においてシステム化された研修はあまり実施されていない。この理由としては、教師が授業および教材研究に費やす時間が多く、研修を勤務時間内に設定することが困難であることが考えられる。しかし、教育研究会などの任意組織が多くあり、勤務時間外の場合もあるが、自己研鑽する場として学習・生徒指導の研修や人材育成に大きな力を発揮している。 一方、フランクフルト日本人学校では、文部科学省派遣教師が多く、公立学校と比較するならば教師の資質は高く、校内研修もある程度システム化されている。この理由としては、派遣教師だけでなく現地採用教師もおり、学校設置者が要求する教師の資質向上に答えるためだと考えられる。このため、校長が研修などを実施する際の学校経営に関する質的マネジメントカが求められていると言えよう。 これらの調査から、在外教育施設と公立学校において、研修や人材育成に関する相違点を明確に表すことができたと言えるのではないだろうか。 4 今後の課題 双方比較の観点から、今後は双方ともに学校間の協力連携が重要であろう。公立学校では校内での指導に限界があるため、他校の管理職をはじめとする人材を利用するなどの方法が必要であると考える。また、在外教育施設では、支援を得られる教育委員会などの組織がないために、自校のみの研修に満足してしまう可能性があるために、近隣の在外教育施設の協同作業による研修計画の再構築が必要と考えられる。
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