文部科学省の予算重点事項に挙げられていることもあり、近年、学内ワークスタディを実施する大学が増えている。しかし、それがどこまで広がりを見せているのか、またどのような教育的効果があるのか、これまで明らかにした論文等がないことから科学研究費に申請し、研究を行った。 まずは全国の私立大学にアンケート調査を行い、185大学から回答を受けた。 その結果、ワークスタディを全学的に実施している大学は37.6%、一部実施は46. 3%であり、実施していない大学は16.1%であった。また、実施していない大学のうち、80.0%が今後の実施を予定・検討しており、ワークスタディが全国的に普及しつつある状況が明らかになった。 また、ワークスタディ実施の意図としては「経済的支援75.8%」、「教職員の負担軽減63.2%」、「就業経験43.2%」、「学内リーダー育成37.9%」、「就職活動でのPRポイントに23.2%」と、単なる労働力や経済的支援として以上の期待が込められていることも明らかになった。 ただし、ワークスタディの教育効果を実際に分析しているのはわずか2.6%であり、実施の意図を科学的に測定できていない大学が大半であった。今後はさらにワークスタディの実施大学・実施規模が拡大することが予想されるが、教育効果を期待するのであれば、各大学において分析を行い、エビデンスに基づいて実施する必要があると思われる。研究成果については、資料にまとめアンケート回答大学に送付した。 本学では平成25年度よりワークスタディを全学的に開始しており、平成26年度の数値を分析したところ、週5~10時間勤務した学生は、前年度に比べ約8ポイント成績が上昇していた。また、学生アンケートでは「大学への愛着」が増したとの回答が多くみられ、週5時間以上勤務学生の退学率は0%となるなど、教育的効果に加え、退学率の減少効果も判明した。
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