研究実績の概要 |
近年, 日本の自治体でも都市プランディングなどの試みが急増している。それぞれの地域の特色を見い出しその土地に合った文化や風土を生かすことの大切さが再確認されてきた証拠でもある。特に, 東日本大震災を経て, 人と人・人とまち・人と自然等をつなぐ方策の創出に向けて, ニーズが高まっている。同時に, 多様な結びつきの中で, 自分の住んでいる地域や国に対する愛情や誇りを醸成する日本(地域)独自のデザインを明らかにすることが, 今後ますます求められる。これらの課題に対し, 性急に成人を対象として解決を図ろうとせず, 未来の社会を担う子どもたちへの教育, 特に初等教育を通してどのように解決を図るかを考え, 明らかにしていこうと考えた。 本年度は, step 4 として研究してきた論を具体的な実践で検証した。身の回りにある「ひと・もの・こと」を「珍しい」「面白い」「驚き」などの観点で1~6年生の縦割り班で1年間探し, 「珍百景」としてまとめる活動を行った。普段から見ている風景をどう見取るか, 1~6年生で話し合いどう主張が伝わる(興味をひく)タイトルをつけるか, どのように伝えるための演出を行うか, という過程を経た。自分たちのグループだけでなく, 他の学年や市や県の人に発信していく中で, 地域の「ひと・もの・こと」のよさを再発見し, 愛着や誇りを醸成される姿が見られた。 ここで見られた子どもの事実を, step5として専門家等に紹介し, テキストを加筆・修正し, 他の論を具体的な実践に移す準備を進めている。来年度は, さらに実践を積むだけでなく, ICTを取り入れ, さらに効果的な方法を求めて挑戦していく予定である。
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