研究実績の概要 |
本研究は, 小学校体育科のボール運動領域において, ビデオ映像を使って一斉に戦術を学ぶ方法とアクションカムという目線からの映像と全体映像を合わせて戦術を学ぶ方法と, どちらがゲームパフォーマンスの向上に影響を及ぼすのかについて, 授業を通して検証することを目的として取り組んだ。 研究を進めるにあたり2つの方法で研究を進めた。1つ目は, 同一学年において, 学級を変えて, 1組ではビデオ映像だけを使って, 2組ではビデオ映像と目線の映像を使って行い, 比較する方法である。2つ目は, 同じ学級で, 教材と時期を変えて比較する方法である。 研究の成果として次の2つのことが挙げられる。1つ目は, 試合中にどこに着目すると, 敵のいない有効なスペースを見付けることができるのかを理解しやすいことである。試合中は, どうしてもボールを持っている子どもばかりに目線が行きがちである。しかし, 有効なスペースにどんどん動ける子どもは, ボールを持っている子どもだけでなく, ボールを持っていない子どもやコートの端から端などを見ていることを目線の映像を通して明確に理解することができた。その結果, 実際の試合において, 周りを見ようとする姿が見られるようになり, 有効なスペースに移動できる回数が向上した。2つ目は, ネット型よりもゴール型の方が視覚映像の情報が子どもにとって有効に働くということである。ネット型においては, 相手に邪魔をされずに攻撃を組み立てることができるため, それ程コート内の様子を見たり, 相手や味方の動きを見たりする必要感をあまり感じない。一方で, ゴール型(入り乱れ型)においては, 刻一刻とコート内容の人の動きが変化するからこそ, 常にボールを持っている人だけでなく, それ以外の人の位置やコート内のスペースなどを見なければいけないことが大切であることに気付くことができた。
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