研究実績の概要 |
次の2つの目的で研究に取り組んだ。 (1) 地域の植物素材によるバイオテクノロジーを活用した実験法を活用し、植物のつくりやはたらき、生殖への理解を深めることができる。 (2) 地域の植物素材によるバイオテクノロジーを活用した学習プランを開発することで, 実社会と実生活の関連を図り科学技術の重要性を認識し, 科学技術の発展による持続可能な社会の実現に向けて体験を通して学ぶ。 そのため、次のようにバイオテクノロジーを活用した実験法と学習プランを開発した。第1学年植物の世界「植物のはたらき 光合成と呼吸」では、地域にある植物工場との連携授業や水耕栽培実験装置を通し、バイオテクノロジーが産業に結びついていることを学習するプランを開発した。第3学年「生物の生殖 DNA」では、コシヒカリが福井県農業試験場の育種で開発されDNAを摘出し、DNAのバンドを観察する実験法を確立した。第3学年「科学技術と人間 エネルギー資源の利用」バイオテクノロジーを利用して間伐等を廃棄せずに, バイオエタノール、バイオチップ、再生紙として利用している実例を学習し、実験を通してバイオテクノロジーの有用性を理解した。第3学年「自然と人間自然界のつりあい」では、自然界で生産者である植物, 消費者である動物、分解者である菌類や細菌類の役割をバイオケミカルテスターで測定し、分解を理解する学習プランを開発した。 実践研究を通して、「理科は日常生活に結びついている」との問いに対して実践前は58%であったが、実践後は95%へと向上した。「バイオテクノロジーの推進は科学技術の発展につながる」の問いに対しては83%、「バイオテクノロジーの推進は持続可能な社会を実現する」の問いに対しては92%、「バイオテクノロジーの推進は地域を活性化する」の問いに対しては85%の生徒が肯定的な考えを持っている。理科と日常生活や社会との強い結びつきを実感したり、バイオテクノロジーの推進への必要性が向上したり、地域活性への期待感が向上したりした。
|