研究実績の概要 |
1 遺伝子リテラシー教育の必要性と学習プログラムの開発 生命科学が急速に進歩する中で, 遺伝子情報保護などに関する必要性や遺伝子技術に関する理解を促進する教育活動について社会的要請がますます高まっている。特に, 学習プログラムの開発においては, 遺伝子・DNAの学習においては実物から学び, そのはたらきを実感することから, 生活とのつながりについて理解を促進することが重要である。遺伝子リテラシー教育推進のために, 研究機関と連携して体験的な学習プログラムを実施し, 有効性を検証した。 2 連携講座における主な学習プログラム (1) ヒトALDH2遺伝子の判別実験(かずさDNA研究所との連携) アルコール分解酵素の遺伝子について, 自分のDNAを抽出し判別する実験を実施 (2) PCRによる遺伝子組換え作物検出実験(くらしとバイオプラザ21との連携) 身近な食品(スナック菓子など)・遺伝子組換えダイズからDNAを抽出し, PCR法で増幅。遺伝子組換え作物が使用されているか調べる実験を行った。また, イムノクロマト法によるダイズの遺伝子組換えタンパク質の検出を実施し、ダイズの遺伝子組換え体と非組換え体を調べた。 3 プログラム実施後の成果 (1) 中学2・3年生徒の希望者を対象とした自分の遺伝子を調べる実験では, 遺伝に関する関心やDNAのしくみ・遺伝子のはたらきについて関心を高め, 自分の遺伝子の重要性について意識させることができた。 (2) 生物領域の学習において, FASTPLANTSの栽培・遺伝子組換え体の観察・pGLOバクテリア遺伝子組換え実験では, 生徒の関心を高めるとともに, 実生活とのつながりを考えさせることができた。 (3) 遺伝子組換え作物の検出実験などでは, スナック菓子などを調べることで, 身近な食品にもDNAが存在することや遺伝子組換え体と比較しながら, 食生活との関連性を実感させることができた。 以上の実践結果から, 学習プログラム実施により, 中学生にも遺伝子に関する専門的な知識を先行的に学ばせることが可能である。
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