研究実績の概要 |
○ 研究目的 キー・コンピテンシーに基づいた中学理科カリキュラムを編成し, 社会が未解決の問題を, 理科の授業で学んだことを根拠に市民目線で共に考えさせる。さらに, 企業や大学の専門家と生徒の交流の場を設定し, 社会の中に生きる科学を実感させたり, よりよい未来を科学の力で切り開こうとしている研究者と直接意見を交流する場を設定したりする。そして, 生徒が社会の中にある様々な問題を自分のこととしてとらえ, 科学的根拠をもって考えたり対処しようとしたりする力を育成し, 生徒の公衆関与力を育む。 ○ 研究方法 本校の学習単位である「学習のくくり」を, コンテンツ・ベースとコンピテンシー・ベースの2つの側面から見直した。「学習のくくり」は, つかむ学習, 追究する学習, つなげる学習から構成されるが, つかむ学習はコンテンツ・ベースの学習とし, 理科の本質を追究した理科固有の知識やスキルを基本に, 全生徒が身につけられるように授業を構想した。追究する学習は前半と後半に分け, 前半は教科横断的なメタな学習課題を設定し, 協同で行う課題解決型の学習とした。後半は生徒が個人テーマを設定する追究学習とした。また, 適切な時期に企業や大学の専門家と直接対話ができる機会を設定した。つなげる学習ではアーギュメント・スキルに基づき, 自分の提案の根拠や変化に自ら気づくことができるよう工夫して行った。 ○ 研究成果 コンテンツ・ベースの学習において目標分析を活用することは, 確実な科学的リテラシーの育成と追究学習の時間確保のために有効であることがわかった。中学校理科では, エネルギー領域として発電やエネルギーの問題, 物質(粒子)領域として物質(イオン)が環境に与える影響の問題, 生命領域として遺伝子に関する研究の問題, 地球領域として核廃棄物の地層処分の問題が, キー・コンピテンシーに基づいた公衆関与力の育成に向けた学習課題設定時のヒントとなることがわかった。
|