本研究の目的は、児童生徒が受け身になりがちな野外や博物館の学習において、課題の発見・解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習プログラムを開発し、それらを活用した現職研修の在り方について実証的に解明することである。 岐阜県教育委員会と岐阜県博物館の学芸員の協力を得て、既存の岐阜県総合教育センター研修講座である「博物館連携講座」の学習プログラムについて、理科教育用W型問題解決モデル(五島)を用いて分析・評価することで、主体的・協働的に学ぶ活動の要素を明らかにし、自ら問題を発見し、他者と協働しながら科学的な見方や考え方を創造していけるような質の高い学習プログラムを開発した。4月と10月の2回、のべ24名の教員を対象に、岐阜県博物館において研修会を実施し、事後アンケートによる評価を行った。また、教員が授業ですぐに使える野外観察教材(軽石、タマミジンコ)を作成・実践し、岐阜県児童生徒科学作品展に出品した。 受講者の事後アンケートの分析により、本プログラムへの満足度は「十分満足」が83%、「ほぼ満足」が17%、「やや不満」と「不満」は0%であったことから、理科教育用W型問題解決モデルを活用することで、主体的・協働的に学ぶ研修プログラムが確立できたと考える。その要因として、特に野外での自然観察においては、教師自身が野外観察の素晴らしさを体感しながら、問題を見いだすことを重視し、「比較・変化・関連性」などの視点で互いに議論することが有効であることが明らかになった。また、具体的な野外観察教材の実践例を学ぶことで、実際に野外や博物館等を活用した指導を行いたいと考える教員が増えることも明らかになった。
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