研究目的 多くの高専において“ものづくり教育”“地域貢献”が目標として掲げられており、筆者もその取り組みの一環として高専ロボコン出場ロボットを用いた出前授業(以下、出前授業)を実施してきた。しかし薩南諸島を抱える鹿児島県は県域が南北600kmにも及び、多くの交通不便地域が存在しているため、鹿児島市周辺地域以外では、ものづくり教育を受ける機会が極端に少ないのが実情である。交通不便地域の中でも特に科学技術に関する催しに参加する機会が少ない離島地域での実施に向けて検討する必要があるが、離島小学校や自治体の意識調査や出前授業等の実施事例のデータが不足している。本研究は離島地域の児童・生徒に対し体験的なものづくり学習の機会を提供し、創造力を育むための継続的なものづくり教育の土壌の醸成を目的とする。 研究方法 ●訪問先 : 知名町立下平川小学校 和泊町立大城小学校・和泊小学校(いずれも鹿児島県沖永良部島) ●日時 : 平成28年3月2日~6日移動の船中泊を含め4泊5日 ●人員 : 本校教職員2名 ロボコン参加学生16名 ●交通手段 : フェリー 島内はレンタカー ●出前授業実施概要 : 1)鹿児島高専およびメカトロニクス研究部の紹介 2)2015ロボコンルール説明 3)ロボットの紹介 4)試合形式でのデモ 5)質疑応答 6)ミニロボット操縦体験 ※出前授業終了後、児童生徒および教諭にアンケートを実施する。アンケートは無記名とし個人が特定できないよう配慮した。 結果 ・児童から「ものづくりに興味がわいた」「ロボットを作るエンジニアになりたい」「家にある身近な機械の仕組みを調べてみようと思った」等の感想を得られた。 ・訪問先の先生方からは「5・6年生においては進路を考える良い機会となった」等の感想を得られた。 ・受講後の児童の授業への取り組み方などの変化については追跡調査の必要がある。 ・本出前授業を通じて講師を務めた本校の学生のプレゼン能力、イベント運営能力が高まった。
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