研究実績の概要 |
研究目的 ものづくり作業では視覚以外にも音や熱などを感じとる感覚が必要とされ, 特に手加工では重要な要素である。学生のボール盤作業を見ても安易な作業を行うなど安全意識や技術感覚が養われていない学生も見られる。そこで, ボール盤作業の数値表現を試み, 作業者はどのような操作を行っているのか測定し, 穴あけ作業の比較を行う。また, 誤った穴あけ方法ではどのような危険性があるのか検証を行ない, 危険教育教材の素材製作を目的とする。 研究成果 計装化のため加工時荷重測定にはロードセル(最大800N), ドリル送り量測定には直動型変位計(最大50mm), ひずみ測定機, データレコーダを準備した。また, 卓上CNCフライス盤や卓上ボール盤へ計測機器を固定する器具製作も行った。 卓上CNCフライス盤を用いてドリルφ6mmによるアルミ合金(t=20mm)の穴加工を「送り速度」や「送り方法(無段階, 段階)」による違いについて測定を行った結果, 例えば送り100mm/min, 中間付近深さ(9mm~12mm平均)の荷重データでは, 段階送り約164N, 無段階送り約160Nと荷重に大きな差は見られなかった。 同じく手作業にて穴あけを行った場合, 初級者での荷重は約52Nと低いが変位の上下変動が多く, 作業時間は約120秒と長く切屑も細かい状態であった。理想的な切屑形状のアドバイス後では荷重は約87N, 作業時間は約46秒と短縮され, 繰り返し作業を行っても同じような結果が得られた。熟練者は荷重が約115Nと大きいが, 作業時間は約23秒と短く, 荷重の変動も少なく, 切屑は一定の長さで切りながら作業を行っていた。初級者へ理想的な切屑形状を伝えるだけでも, ある程度まで熟練者のような作業へ近づけることができた。 ボール盤作業の危険例再現として, 1. ドリル破損では「ドリル湾曲」や「送り速度による破損」, 2. 穴あけ温度ではステンレス板や鋼板, アルミ板について温度分布の違い, 3. 薄板穴あけでは「材料せり上がり」や「材料回転」について再現し, 危険教育のためのビデオ教材を製作した。
|