1. 研究目的 本研究では、学生実験として今までなかった、薄膜太陽電池の作製から特性評価までの一貫を実験テーマに取り入れることでイノベーション技術を支える技術者の育成を目的とした。そのため、実験に最適な太陽電池作製条件(原材料の分量、実験装置の設定)を明確にすると共に、実験の危険個所を把握し、安全に実験が行える環境作りを実施した。 2. 研究方法 実験に最適な太陽電池作製条件の検討として太陽電池を試作した。スパッタ装置、真空蒸着装置を用いて、CuZnSnプリカーサを作製する。この時、(1)材料の蒸着順、(2)分量比を変化させた数パターンのプリカーサを作製する。作製したプリカーサとS単体を真空封入し、電気炉で熱処理してC_2ZnSnSe_4(CZTS)薄膜を作製する。上記(1)、(2)の条件振りを行い、高効率が得られた条件を学生実験の条件に採用する。特性評価は、組成分析、SEM写真、分光感度測定、太陽電池特性測定(効率、短絡電流、開放電圧、曲線因子)を実施する。 3. 研究成果 CZTS薄膜中のSn及びSe量を増加させることで、薄膜の結晶粒径の増大や太陽電池特性の向上が見られたが、短絡電流1_<sc>が低く、更なる薄膜組成比の調整が必要であることがわかった。また、CZTSのZn比率がOであるCu_2SnS_3薄膜太陽電池において、同太陽電池材料の現世界最高効率である4.63%を達成し、実験に最適なCu_2SnS_3薄膜太陽電池の材料分量比が明らかになった。
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