1. 研究目的 ものづくりの現場では“5S“という、考えて行働する能力の向上、マネジメント能力向上、環境の変化に対応できる人材づくりに重点をおいた改善活動が実施されており、教育現場でも効果が期待できるツールである。しかしながら、企業ではOJTで実施されており、そのまま教育現場に活用するのは、効果が低いと考えた。そこでOJTをPBLに置き換え、さらに専門的であるがゆえに狭い範囲の学びである実習に、5S活動で育まれる感性や創造力の向上を上乗せすることで、専門性を十分に生かしながら多様な社会ニーズに応えられる人材育成のあり方をめざす目的で、本研究をスタートした。 2. 研究方法 対象とする実習は、現状、自動車に使用していたエンジン部のみを2基用意し、4人1組のチームで各エンジンを分解・組立の作業をしている実習に選定した。この作業過程に5SとPBLを組み合わせ、最終的に組立作業での時間がどれくらい短縮化できるかを改善効果の指標とする。必要な事としては、5S講義と5Sツールを使用した実習作業、さらにファシリテーション方法を検討しながらプログラムを作成する。その確認方法として学生に協力を頂き、模擬実習を実施して、効果と問題点の刈り取りを行う。 3. 研究成果 模擬実習を行った結果、5Sを組み合わせていない授業での分解と組立作業時間の比率が1:1.4だったのに対し、1:1と組立作業時間が大幅に短縮可能となり、効果がある結論に結びつけられた。学生にアンケートを取った結果では、改善活動を実施して作業時間が短縮化できたことで達成感を味わえたという学生が、ほとんどであった。また、達成感は味わえたのだが、もっと改善する時間があれば、良い結果が出せたという学生もおり、マネジメントの難しさの実感と、向上心をあおる事についても良い結果が見られた。これらの結果をもとに、平成28年度の授業からこの方式を採用する予定である。
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