研究実績の概要 |
本研究は赤外線放射温度計では計測不可能な水中の物体の温度変化を非接触で測定することや、水中で電場が印加されている環境での物体の温度変化を測定する手法を確立することを目的として、水中での減衰が赤外線と比較して極めて少ない可視光を用いて、物体のビデオ映像の解析から可視光の特にRGB(赤色、緑色、青色)の放射強度(明度)変化を温度に変換する手法を次に示す温度計測フローで確立した。すなわち①電場を印加しない水中での沸騰実験の観察ビデオ映像を解析して伝熱面表面の赤色、緑色、青色(以下RGBと記す)各色の明度を記録し温度との相関を得る。②電場を印可しない沸騰実験で温度測定と同時にビデオ撮影する。③ビデオ映像の1コマ毎にRGBを計測する。④温度とRGBとの回帰曲線を求める。⑤電場を印可した沸騰実験のビデオからRGBを計測する。⑥回帰曲線にRGBを入力し温度を求める。本研究の実験範囲ではRGBによる伝熱面温度測定で精度をある程度確保できると思われるのは伝熱面温度が800℃以上の高温域と200℃以下の低温域であった。なお解析はRGB各色の明度を0~255の値で示すもので測定精度は温度換算で±4K程度である。この結果, 水中での物体の温度測定を離れた場所からビデオ撮影することで可能となり、また温度センサーを物体に設置することなく水中の物体周りの物理的環境を乱さずに温度測定できるので, 数値計算の精度向上の為の検証実験における精密な測定など、物体に非接触での温度測定が可能になったので工業的に極めて広範囲の分野に応用されることが予想される。更に工業に留まらず例えば調理中の天ぷらの具材の温度測定など一般社会生活にも応用されることが考えられ極めて有意義である。
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