研究目的 : 機械系の学生がものづくり実習でミニ蒸気機関車を製作しているが動作に個体差があり、中には動かない作品もある。各々で動くように修正をおこなっているが不具合の原因が分からず闇雲に修正を繰り返す学生もいる。本研究では、試走前に圧縮空気を使って動作テストをおこない駆動に必要な空気圧の測定とそのデータを基に動かない蒸気機関車の原因究明および適切な修正方法の確立を目的とした。 研究方法 : 動かない原因の多くは「首振りシリンダーとフレームのすり合わせ精度不足」、「摺動面の摩擦による抵抗の増大」、「穴位置の精度不足」が考えられる。穴位置の精度不足が動作圧にどのように影響しているか確認するため吸排気の穴位置が違うものを用意しコンプレッサーの圧縮空気を使い動作に必要な空気圧を測定する。穴径を大きくした場合も同様に測定し位置の誤差と穴を大きく修正した場合の関係を調べる。すり合わせ精度ではシリンダーの形状を少し変更する事で精度を上げて不具合の発生を防ぐ。摩擦による抵抗では各駆動部を確認し抵抗が大きい部分はペーパーや研磨剤等で摺動面を仕上げるようにする。 研究成果 : ミニ蒸気機関車で発生する蒸気による圧がおよそ14kpaであることが分かり、試走前に圧縮空気で性能を測定する事で実際に動くか判断できるようなった。そのためスムーズに修正作業がおこなえるようになり、また穴の誤差を測定することで不具合の原因を特定し適切な修正方法で修正をおこなえるようになった。さらに、シリンダーの形状を変更した事ですり合せの精度が格段に向上し動作圧力の低減につながった。
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