○研究目的 小型衛星用の推力1N級ハイブリッド推進機(燃焼室圧10気圧以下)の実現である。そこで、今年度は、真空用超小型ハイブリッド推進機・性能評価装置の試作を行い、真空下での実験環境の構築と固体燃料の配合や添加剤の粒径をパラメーターとする先述の試作機の性能評価の二つを実施する。 ○研究成果 : 推力1N級の超小型ハイブリッド推進機の設計する上で、NACAの化学平衡計算プログラムソフトCEA(Chemical Equilibrium with Applications)を用い、最適な酸化剤と燃料の割合を算出し、推進機の推進剤流量等の検討を行った。試作機の材質はSUS303を使用し、酸化剤供給・点火部と燃焼・ノズル部の2部品を製作した。また、試作機の性能を評価するため、推力測定装置を試作した。試作した推力測定装置は、弾性ヒンジを軸にした振子に推進機、オイルダンパ(減衰装置)、変位計が取り付けられており、振り子の変位が外力の大きさに比例することを利用して変位を測定することで、推力を評価するものである。以上より、真空雰囲気圧下においての実験環境を構築することができた。 また、性能評価においては、先述の試作機を使用し、燃料は、HTPB/APコンポジット推進剤(30:70)を作製し、酸化剤は、乾燥空気(dry Air)を使用し、大気圧下で作動を確認したが、設計圧力よりも高い値となってしまった。そのため、今後は、推進剤の添加剤等の配合の調整を行うとともに、推進機等の遂次改良を図り、超小型衛星用の推力1N級ハイブリッド推進機(燃焼室圧、10気圧以下)の実現に向け研究を進めていく予定である。
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