1. 目的 アナログ・ディジタル混載回路の設計には、システムレベル及び回路ブロックレベルでの設計が必須である。しかし、大学では時間の制約上、アナログ回路、ディジタル回路のいずれか一部の教育にとどまっているところが多く、これらすべてを網羅した教育を行っているところは極めて少ない。特にアナログ回路ブロックでは、Verilog-Aを用いたモデリングを行う必要があるが、これに関する日本語文献もかなり少ない。そこで、本取組みでは、学生がアナログ・ディジタル混載回路の設計を自学自習できるよう、特にアナログ回路のモデリングに重点をおいた設計実習教材の作成及び環境構築を行うことを目的とした。 2. 方法 (1)シミュレーション環境構築と使用法のマニュアル作成 Linux及びWindowsでシミュレーションができるよう、2つの設計ツールのインストールを行い、Verilog-Aのシミュレーション実行方法手順をまとめたマニュアルを作成した。 (2)アナログ回路のモデリングに重点をおいた設計実習教材の作成アナログ回路をモデリングする際に使う文法、アナログ・ディジタル混載回路で用いられるアナログ回路のVerilog-Aを用いた記述例をまとめたマニュアルを作成した。 (3)実習教材を利用したICの試作と実験環境の構築 (2)の一部について、CMOSプロセスにて設計・マスクレイアウトを行い、ICを試作した。さらに、このICとFPGA評価ボードを直接接続可能な評価基板も製作した。 3. 成果 本取り組みにより、特に情報が少ないアナログ回路のVerilog-Aを用いた動作モデリングを学生が自学自習できる環境は整った。2016年3月に開催された実験・実習技術研究会in西京において、本取り組みの発表を行った。今後は、作成したマニュアル及び実験環境を用いて、簡単なアナログ・ディジタル混載回路を用いた実習テキストを作成する予定である。
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