研究実績の概要 |
研究の目的 計算機ホログラムは、干渉パターンを計算機上で計算し、等方的位相差を利用したデジタルパターンの回折素子作成手法である。計算機ホログラムにて光学異方性を含めた計算が可能となれば、より高機能な光デバイスを作成することが可能となる。今回は2次元のデジタル型異方性回折素子の作成手法及び、作成した回折素子の回折特性を実験、理論の両面から評価し、基礎となる手法を体系的にまとめることを目的とした。上記目的を達成する為に、研究期間内に以下の3つの工程を実施した。 2次元デジタル型異方性回折素子作成の為の光学系の設計 2次元の異方性回折素子を作成する為に、ガルバノスキャナを使用した。ガルバノスキャナ制御用のPC及びソフトウェアを導入し、波長板や偏光子といった光学素子の配置を検討し光学系を構築した。ガルバノスキャナの動作精度や露光スポットでのビーム径の調整を実施することで、形成できる異方性光学素子のサイズやピッチ、ガルバノ制御用ソフトウェアの今回の目的に沿った使用方法を検討し、露光パターンのプログラムを形成した。 2次元デジタル型回折素子の作製 光架橋性高分子に対し, 上記構築した光学系及び露光パターンのプログラムを使用し、2次元異方性光学素子を作製した。作成した素子の異方性空間分布は、ホログラム記録では形成できない、同心円型、鋸歯型を形成した。作製した回折素子の回折特性を測定し、偏光が変換されながら2次元的に回折されていることを確認した。 理論解析 作製した回折素子の異方性空間分布図を形成し、その図を取り込み各ピクセルの出射電場をジョーンズ行列で計算した。そしてその電場分布をフランフォーファー回折理論に沿って計算することで、理論解析を実施した。上記、測定した回折特性と比較し、よく一致した回折特性が得られたことから、本手法は2次元デジタル型異方性回折素子の理論解析手法として有用であるといえる。
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