【研究目的】 人工光に囲まれた生活で眼の疲れや不快感を訴える人が増えている。しかしながら、実際に視覚負担に差があることがきちんと検証されているわけではない。 自然光が短波長から長波長まで連続的なスペクトルを持っているのに対し、人工光は使用するLEDに応じて離散的にピークを持つ。人工光の光源として使用するLEDの色数を増やすとスペクトルはより連続的になり、自然光のスペクトルに近付く。本研究では眼の疲労度に着目し、使用するLEDの色数をどの程度まで増やせば視覚負担を小さくすることができるか検証することを目的とした。 【研究方法】 まず、プロジェクターを用いて、ちらつき刺激を提示する装置を開発した。プログラムによってプロジェクターの出力輝度を制御することにより、時間変調した刺激を提示することが可能となった。次に、干渉フィルターを組み合わせてさまざまな波長の色を重ね合わせることにより、所望のスペクトルを持つ刺激を提示できるようにした。これにより意図したスペクトルを持つちらつき刺激が提示できるようになった。ガンマ補正や平面輝度補正を行い、補正後のスペクトルを測定したところ、期待どおりの刺激が提示できていることを確認した。 また、視覚科学技術コンソーシアムオープンイベントや日本視覚学会全国大会へ参加し、視覚研究の研究者から意見をうかがったり議論したり積極的な情報収集を行い、本研究の遂行に役立てた。 【研究成果】 本研究により、さまざまなスペクトルを持つちらつき刺激を提示可能な多原色光源表示装置を開発した。この光源装置を用いてちらつき知覚の閾値を調べることにより、スペクトルの異なる光による視覚負担を測定することができるようになった。今後、実験を重ね、視覚負担の小さい光源の開発に寄与したい。
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