1. 研究目的 本研究では、頭部装着ディスプレイ(HMD)による三次元(3D)映像視聴時の映像酔いに着目し、複数の光電容積脈波センサの脈波変動の周波数解析等により得られる映像酔い度を表す評価関数を用いて、HMD映像視聴時の姿勢(立位、座位、仰臥位)保持による映像酔い評価、姿勢変換による映像酔い増大・軽減効果、並びに姿勢変換にも対応した映像酔い度推定・予報システムの開発を目的とした。 2. 研究方法 複数の脈波センサや脳波センサ等を用いて、HMD映像視聴時の映像酔いを評価する実験システムを構築する。具体的には、(1)映像酔い評価実験システムで、姿勢保持別に、主観的に映像酔い有・無、無視聴時の脈波を計測・保存。脈波周波数の低域成分(LF)、高域成分(HF)、脈拍数由来の高調波成分(H1)、脈拍変動のローレンツプロット法による標準偏差(SD)等を解析し、映像酔い度を表す評価関数を導出・評価。(2)姿勢変換別に(1)と同様に評価し、映像酔い増大・軽減効果を探る。(3)姿勢保持・変換別映像酔い度評価関数を組込んだ映像酔い度推定システムを製作・評価。(4)予報システムを組込み評価。 3. 研究成果 前述の計画に従って、データ集録・解析システムPowerLab、MATLABを用いた映像酔い評価実験システムを構築し、複数の脈波センサを用いて姿勢保持・変換別による映像酔い度推定システムを設計・製作、評価した。市販の3DBD映画を評価対象映像として、主観的評価(映像酔い有無や不快さ度等)と照合し、得られた脈波データに短時間フーリエ解析及びローレンツプロット法による解析を適用し、H1、SD等から映像刺激ストレス反応を評価することにより、映像酔い度を推定できる可能性が見出された。今後は脳波センサの実装、姿勢変換による映像酔い増大・軽減効果、並びに予報システム組込みが課題である。
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