研究実績の概要 |
我が国は, 昨今, 巨大地震の発生や甚大な集中豪雨等により壊滅的な被害を受けた。今後も南海トラフ巨大地震や各地の活断層による直下型地震の発生が懸念されている。また, 火災や水害, 落雷等で事業所が大きな被害を受けることも想定される。そのため, データやシステムは破損や消失を防ぐため, 事業所内に保存するのではなくデータセンタ等の災害に強い場所に保存することが望ましい。しかし, データセンタを利用するには高額なランニングコストに加え, 一朝有事の際, サーバルームへの入室手続きがとても煩雑である。 そこで, 本研究では各事業所にRAID対応のネットワーク対応ストレージ(NAS)を設置し, データの冗長性を図る。その上で更に各拠点に設置したNASを1台のHDDとして捉え, 各拠点を纏めて1台の擬似的なNASとして運用することで更に冗長化を持たせる。本システムではRAID6の仕組みで稼働させたため, 全拠点のうち2拠点が災害等でダウンしてもその他の拠点のデータから復旧させることが可能となった。各拠点で用意する機器はNASとコントローラサーバのみとなり, データセンタ利用に比ベランニングコストは低くなる。さらに復旧は各拠点で行えるため, サーバルームへの入室手続きの煩わしさもないシステムを構築することができた。 システム完成後, 学内ネットワーク環境においてシステムテストを行った。まずは通常運用時を想定し, 各NASのユーザ利用領域のデータの分割, そのデータからのパリティ作成, それらのデータをそれぞれのNASのシステム領域への保存を確認した。次に異常時を想定し, 全NAS中の2台のNAS内のデータをすべて削除し, その後他のNASのシステム領域からユーザ利用領域へのデータ復旧を確認することができた。
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