デジカメ等に使われるイメージセンサのセルの感度差により生じるインパルス性雑音を除去するフィルタとして、多方向スイッチングメジアンフィルタ(多方向SMF)の開発を行い、その有効性を論文にて報告した。現在、本手法の画質の改善を目的として、画像を分割し、分割画像に個別のしきい値を設定して処理する方法について研究をしている。多方向SMFは、少ない処理数を特長のひとつとしている。近年、4Kや8Kと呼ばれる画素数の多い画像(大規模画像)の処理が増えつつある。大規模画像は画素数が多いことから、画素数に比例して1枚当たりの処理数も増加する。多方向SMFは処理数が少ない特徴から、その改善型の手法(画像分割型多方向SMF)も、大規模画像の処理に向くと考えられ、大規模画像に対する実験を行い有効性を確認することを本研究の目的としている。 一昨年度末(2015年2月)に、画像分割型多方向SMFを、画像電子学会に論文投稿し、2015年7月号の学会誌に掲載された。論文の実験においては、他手法との比較のため、試験用の標準画像を使い、本手法の有効性を確認した。 大規模画像に対する実験は一昨年度末に行っており、その有効性に関する報告も一昨年度末(2015年2月)に行った。 画像分割型多方向SMFは、従来の多方向SMFのと比較して画質の改善は得られるが、処理回数が大幅に増加する問題がある。そこで昨年度は、画像分割型多方向SMFと同等以上の画質で、処理回数の増加をできる限り抑えた手法について模索を行った。また、多方向SMFの高速な実装方法についても研究を行い、その成果を報告した。
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