研究実績の概要 |
本提案を実用化に結び付けるためには, せん断変形抑制型排水壁の作製にあたり破砕瓦の粒度, 壁厚, 壁深度, 壁間隔等についての最適化, ならびに将来的には安価な施工法の確立が必要である。 そのため, まずは①使用材料, ④壁範囲を固定し, ②壁厚と③壁深度を変えた実験的検証を行った。そして, 所定の改良効果を満足する②壁厚と③壁深度を選定した後に, ①使用材料を変えた実験を行い, 最適な粒度分布を決定した。そして最終的に④壁範囲の検証として, 液状化による構造物の傾斜角の許容範囲を満足する中で, どの範囲まで壁間隔を広げられるかについて検証を行った。 実際に、破砕瓦を用いて直径10cm, 高さ30cmの模型マンホールを対象に液状化実験を行い, 液状化時におけるマンホールの模型が浮き上がりを大きく低減することに成功した。これは破砕瓦の摩擦性能と排水性能による相乗効果であり, 各種センサーによって破砕瓦内部のみならず破砕瓦地盤の周辺においても液状化状態後の水圧の消散が早く液状化被害が起きにくくなることが確認された。 これらの実験結果により、本提案では, セメントを用いた従来技術と比較して, せん断変形の抑制と水圧消散による相乗効果を得ることができ, さらには、既存の工法に比べ高いオリジナリティーを有していることが確認できた。
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