空気圧機器は自動化や省力化機器などの機械系産業にとどまらず、医療や福祉関係など様々な分野で利用されている。このように広く利用されている空気圧機器ではあるが、大学などの教育・研究機関で空気圧を利用した機器や装置について詳しく学べる環境や教材が少ないため、工学系の学生の多くは卒業後、空気圧機器を取り扱う職に就いてから、必要に迫られて学ばざるを得ない。そこで、学生が空気圧機器の原理や機器の種類、組立てなどの空気圧の基礎を修得できる学習教材を開発することが本研究の目的である。 コンパクト且つ改良自在な学習教材を開発するため、シンプルな回路で設計し、必要最低限の機器構成で製作を試みた。装置の外形寸法を小さくし、狭いスペースでも学習ができるようコンパクトな機器を選定し、その装置サイズ(電源BOX含む)は幅250×奥行200×高さ200[mm]に収めることができた。また、改良を容易にするため、マニホールドー体形の電磁弁を選定することで、必要な機能のバルブへ容易に交換でき、他の機器についても交換や調整がし易いようレイアウトを考慮した。試作した学習教材は、コンプレッサからの一次エアーから装置内のフィルタレギュレータを介して、電磁弁、流量制御弁にエアーを流すことにより、アクチュエータ(エアシリンダ)を動作させる構造となっている。電磁弁はそれぞれ特徴の異なる5種類を準備し、動作させる電磁弁に配管を繋ぎ、スイッチを切り替えることで、アクチュエータの動作を観察し、各種電磁弁の特性を確認できる。 本研究で試作した教材は、空気圧の初歩からスタートする学生のために、シンプルな回路、機器で構成し、また自製であるが故に、分解や組立てが容易で、機器の取扱い方法や装置の組立て・保全にも有用である。この教材を利用した学習法は、学生が気軽に空気圧の基礎から学び、その現象を直接体験できる機会を得るのに有効な教材であると考えている。
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