研究実績の概要 |
○研究目的 好中球減少における殺細胞性抗がん薬とデキサメタゾンの薬物相互作用を明らかにすることを目的とした. ステロイドは骨髄からの動員作用などにより好中球増加作用を有しており, 殺細胞性抗がん薬による好中球減少効果が増強・遷延化する可能性が考えられた. そこで, カルボプラチンによる血球減少効果と, デキサメタゾン併用による血球減少増強効果についてマウスを対象にColony Forming Cell(CFC)assayを用いて検討した. ○研究方法 CD-1マウスにカルボプラチンをday0に1回のみ腹腔内投与する. day7において骨髄から造血幹細胞を採取し, CFC assayを用いてCFU-GM, BFU-Eのコロニー数を計測する. 1. デキサメタゾン併用による好中球減少の増強効果を検討する際の至適投与量の検討を行う. CD-1マウスにカルボプラチン150mg, 300mg, 450mg/㎡をday0に1回のみ腹腔内投与し, OFC assayを行う. 2. デキサメタゾン併用による影響について検討を行う. 併用群はデキサメタゾン0.1mg/bodyをday0からday4までの5日間連日投与し, day7においてCFC assayを行う. ○研究成果 1. カルボプラチン150mg, 300mg, 450mg/㎡を投与した際のCFU-GMのコロニー数はそれぞれ53±7、31±20、0個であった。450mg/㎡では毒性が強いことから、至適投与量は300mg/㎡と考えられた. 2. コントロール群, カルボプラチン300mg/㎡投与群, デキサメタゾン併用群でCFC assayを行ったところ, CFU-GMのコロニー数はそれぞれ56±7、21±3、14±4個、BFU-Eは13±2、4±1、3±1個であった。コントロール群と比較し, カルボプラチン投与群はCFU-GM、BFU-Eのコロニー数が減少した. デキサメタゾン併用群では, CFU-GMのコロニー数がさらに減少していた. CFU-GMは好中球などの顆粒球に分化するため、本結果からデキサメタゾンとカルボプラチンの併用は骨髄における造血幹細胞の減少効果を増強することで, 好中球減少を重篤化する可能性が示唆された.
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