研究課題
奨励研究
アダリムマブ(ADA)は、関節リウマチの中心的治療薬となっている。高価なADAを適正に使用することは、患者のみならず医療経済においても、大きな貢献となる。ADA使用患者の一部に抗アダリムマブ抗体(AAA)が産生され、欧米では治療減弱に影響すると報告されているが、本邦では明らかにされていない。【目的】ADA投与患者におけるAAA産生率と、AAAのADA治療効果に与える影響を明らかにする。【方法】2009年から2014年7月までに、当院を含めた多施設通院中の66人のRA患者で、新規にADAを開始した患者の0、4、12、24、52週時点でのADAとAAAを測定し、AAA陽性頻度と薬剤継続率、治療効果に与える影響について検討した。【結果】AAAは37.9%で発現し、AAA陽性群は陰性群に比して薬剤継続率が有意に低く(44.0%, 70.7%)、52週での治療効果も有意に低かった(DAS28 : 3.6±1.8, 2.5±1.3)。中止例のほとんどが効果不足で副作用の発現頻度は低かった(11例、2例)。全検体でAAAとADAの血中濃度は明らかに有意な相関を示した。AAA陽性群では併用剤のMTX使用量が有意に少なく、MTX投与量とAAAの値は有意に負の相関を示した。また、AAAはADA開始3か月目までに陽性になる症例が多く、3か月目のAAA陽性の有無は薬剤継続率、最終効果の減弱に有意に影響を与えた。【結論】日本人においてAAAは欧米人より高頻度に産生され、ADA治療開始早期に出現し、治療効果を減弱させた。治療開始3か月でAAAを測定することで、ADA中止を決定出来る可能性が示唆された。尚、本研究は当センター倫理委員会(第0930号平成22年7月承認)及び、他施設の倫理委員会の承認のもと、患者の同意を得て行った。現在上記内容でModern rheumatologyに論文投稿準備中である。
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日本臨床検査医学会誌
巻: 63 ページ: 1357-1364
27089651
40020707842
https://www.shinkohosp.jp/shpdir/labo/