研究実績の概要 |
【目的】 中枢移行性のアンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACEIs、カプトプリル他)は記憶保持増強効果を有することが報告されているが、その作用機序は未だ解明されていない。本研究では、カプトプリル投与ラットにおいて発現変化した脳内ペプチドの記憶保持機構への関与を明らかにすることを目的とする。 【方法】 Sprague-Dawley(SD)ラットに中枢移行性ACEI(カプトプリル : 5、10、20mg/kg)、非中枢移行性ACEI(イミダプリル : 1、4mg/kg)、およびAT1受容体拮抗剤(ロサルタン : 21、42mg/kg)を5日間投与したラットの脳を試料として用いた。 脳内ペプチドは、強酸性条件にて加熱処理を行った後固相抽出を行った。抽出した各試料をSELDI-TOF-MSにてプロフィリングを行い、各群間での発現変化を比較検討した。次に中枢移行性ACE阻害剤カプトプリル投与ラット脳において特異的に発現した質量についてLC-MS/MS法にて構造解析を行った。 【結果】 中枢移行性ACEI(カプトプリル : 5、10、20mg/kg)投与群においてLC-MS/MS法にて構造解析を行った結果、分子量1654.53を示す物質の存在が確認できた。さらに、フラグメントイオンとして、m/z=1241.68(100%), 986.67(21%), 644.51(19%)などが検出できた。一方、構成アミノ酸の存在を示すインモニウムイオンは、Hisの存在を示すm/z=110.18のみであった。なお、他のインモニウムイオンのシグナルは検出限界以下であった。以上から今回見出した物質は非ペプチド性物質の可能性が高く、今後更なる精製を行い、NMR等による構造解析が必要と思われた。
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