研究課題
奨励研究
1. 迅速・高効率運動ニューロン誘導法の確立 : これまでの運動ニューロン分化誘導法において用いられてきた小分子化合物を、LDN193189やCHIR99021に変更することにより、細胞死を抑え、安定的にHB9陽性運動ニューロンを分化誘導することに成功した。次に、in vivoにおけるマウス中枢神経系の発生環境に着目し、より成熟した運動ニューロンを誘導する培養条件を検討した。成熟神経細胞マーカーCholine Acetyltransferase(ChAT)の発現量を定量的RT-PCRおよび免疫染色により評価したところ、成熟培養条件下で分化誘導した運動ニューロンの方が、ChATの発現量の増加が観察されており、より成熟度が高い神経細胞を誘導できている可能性が示唆された。現在さらに詳細な解析を進めている。2. 運動ニューロンの純化 : 運動ニューロンの純化培養を行うための、最適な培養条件を検討した。その結果、フローサイトメーター(FACS)やMACSを行った場合、細胞を培養容器からはがす工程があるため、細胞の生存率が下がり、分取後の細胞数を確保することが難しいことがわかった。また、FACS後の運動ニューロンを濃縮した分画を培養すると、神経細胞とは別の増殖能を有する細胞が混入し得ることが明らかとなった。上記の問題点を克服するため、現在、培養中にAraCを添加することにより、増殖能を持つ細胞を除去し、細胞をはがすことなく運動ニューロンを濃縮する方法を検討している。3. SBMA患者iPS細胞を用いた病態関連遺伝子の解析 : SBMA患者由来のiPS細胞3種類と健常者由来のiPS細胞3種類から運動ニューロンを分化誘導し、total RNAを採取した。また、MACSを用いて運動ニューロンの純化を行い、total RNAを採取した。現在、これらのサンプルを用いて遺伝子発現解析を進めており、今後、トランスクリプトーム解析(RNAseq)による詳細な解析を行い、新規病態関連因子の候補を同定する予定である。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)
Mol Brain
巻: 8 号: 1 ページ: 79-93
10.1186/s13041-015-0172-4