1. 研究目的 足のメンタルローテーション課題は、提示された様々な角度や視点の足の写真の左右判断を行う課題であり、判断のためには頭の中で自身の足を動かすイメージにて回答をしていると推察されている。運動をイメージすることは、脳卒中後のリハビリテーションにおいて有効な手段として位置付けられている。しかし、足のメンタルローテーション課題が有効なツールであることを裏付ける報告は少なく、課題を行う際の脳活動を検証した報告は散見されない。本研究では、基礎的研究として、機能的核磁気共鳴撮像(fMRI)を使用し、健常者を対象とした足のメンタルローテーション課題時の脳活動を検証した。 2. 研究方法 健常者10名を対象とし、足のメンタルローテーション課題をfMRI撮像中に実施した。足の写真は4つの角度と4つの視点、そして左右のパターンの計32枚を使用した。撮像はブロックデザインとし、課題条件と休息条件を反復した。得られた脳画像は、解析用のソフトウェアを使用して、脳活動部位を同定した。 3. 研究成果 脳活動領域として、複数の脳領域の活動が確認された。これらの脳活動の一部の領域は、課題に対する回答のために足の運動を脳内でイメージするための活動と推察され、リハビリテーションへの応用のための一つの根拠となると思われる。今後は、脳卒中患者を対象とした行動学的・脳科学的な検証を行い、臨床応用への可能性を吟味していく必要がある。今回得られた成果は、2016年度中に学会および論文報告を行う予定である。
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