研究実績の概要 |
Constraint-induced movement therapy (CI療法)を実施した上肢麻痺を呈した脳卒中患者において、介入前後で上肢機能評価(Fugl-Meyer Assessment[FMA], Motor activity log[MAL])、QOL評価(Short-form 36), 加速度計(麻痺手の活動量)を測定し、各評価間の関係を確認する目的で試験を開始した. しかし、文献研究により、手首にのみ加速度計を設置する方法では、純粋な手の活動量が測定できない可能性が示唆された. そこで. 両手の加速度計に加え、体幹の活動量を除くべく、前胸部に加速度計を設置し、その値を両手の加速度計の値から減算し、かつ夜間の睡眠時間に該当する値も削除する方法を開発した。 健常者を対象に従来法と新法の違いを確認した。結果、従来法では両上肢が同期して活動している所見が認められ、両手の加速度計の数値が体幹の活動に影響を受けることが示唆された。その後、非利き手が麻痺側である脳卒中患者3名に同様の評価を実施し、同じ傾向を確認した(脳卒中患者1[軽度麻痺] : 従来法 ; 麻痺手74.65±107.02回/分、非麻痺手 85.31±115.51回/分、新法 ; 麻痺手 44.39±53.62回/分、非麻痺手 59.54±66.07回/分、脳卒中患者 2[中等度麻痺] : 従来法 ; 麻痺手 47.39±83.87回/分、非麻痺手 95.25±117.02回/分、新法 ; 麻痺手 24.29±35.66回/分、非麻痺手 97.68±83.21回/分、脳卒中患者3[重度麻痺] : 従来法 ; 麻痺手 20.11±53.97回/分、非麻痺手 96.41±94.66回/分、新法 ; 麻痺手 8.75±19.54回/分、非麻痺手 96.33±89.70回/分)。 本研究期間では評価法の開発ができた。今後は本手法の信頼性の評価と主目的であるCI療法の前後で、上肢機能評価と加速度計、QOLの関係性を明らかにする予定である。
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