研究課題
奨励研究
研究目的 : がんの治療法の一つである化学療法はがん細胞に刺激を与え、最終的にアポトーシス(プログラム細胞死)を誘導させることでがん細胞を死滅させている。がん細胞は臓器の種類により、抗がん剤の感受性が違い、抗がん剤耐性を獲得したがん細胞も存在する。よって、様々ながん細胞に対し、抗がん作用を示す抗がん剤は今後の化学療法において重要であると考えられる。これまでの我々の研究において、食用きのこの一種であるAgaricus blazei(アガリクス)に含まれるエルゴステロール誘導体は、肺がん細胞または胃がん細胞に対して高いアポトーシス誘導作用を示すことを明らかにしている。アガリクス由来エルゴステロール誘導体は、上述のがん細胞と同様に口腔がん細胞にも感受性を示すと思われ、口腔がん治療に期待が出来る。本研究は、アガリクス由来エルゴステロール誘導体による口腔がん細胞のアポトーシス誘導作用を検証し、口腔がんに対する治療および予防を目的とする。研究方法 : アガリクス由来エルゴステロール誘導体が口腔がん細胞に対して、アポトーシスを誘導するかをTUNEL法により検証した。また、そのアポトーシス作用経路をアポトーシス関連性因子の動態を各種キット類およびWestern blotting法などを駆使して解明した。研究成果 : 本研究では、アガリクス由来エルゴステロール誘導体が口腔がん細胞に対して、高いアポトーシス誘導作用を示すことを見出した。その作用経路はカスパーゼに依存せず、アポトーシス誘導因子(AIF)を介す経路であることが分かった。また、p53の異常性の有無に関係なくアポトーシスを誘導することも分かった。これらの結果より、アガリクス由来エルゴステロール誘導体は口腔がん治療として期待ができる。また、食品由来成分であることから副作用も少なく、日常的に摂取することでがん予防にも期待できると考えられる。
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International Journal of Oncology
巻: 48 号: 4 ページ: 1670-1678
10.3892/ijo.2016.3391