[研究目的] エナメル芽細胞はエナメル質形成を行なう単層円柱上皮細胞であり、極端な細胞極性を持つ。しかし分散培養では本来の特徴が失われてしまい、さまざまな機能や分化メカニズムの解析を妨げていた。この問題を解消するため細胞培養手法を検討した。 [方法] ラットのエナメル芽細胞を、実体顕微鏡下で外科的にシートのまま取り出した。このシート状のエナメル芽細胞は丸まりやすいという問題があったため、膜材とマトリックス製剤を使用した。完全合成培地を用いたトロウェル法およびフロー法で培養を行なった。 [現在までの結果] 4週までの培養実験の結果、大半が基質形成期まで進んでいた。エナメル芽細胞シートを固定したのち樹脂包埋して切片を作製した。組織解析を行なってシートを構成するエナメル芽細胞とその他の上皮系細胞群はいずれも形態的によく保存されていた。組織化学染色を行なったところ活性もみられた。 [今後の予定] 電子顕微鏡や共焦点顕微鏡を用いて微細構造観察を行なう。
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