サプリメントや薬を内服していない若年成人女性70名を対象とし、血液・遺伝子検査、身体測定と食事や生活習慣の質問紙調査を施行した。遺伝子検査は、MTHFR C677TのCC型・CT型・TT型を調べ、血液検査は、葉酸値、ビタミンB6、B12、総ホモシステイン値、アミノ酸分析(39種類)のほか、末梢血液一般、鉄、総蛋白、中性脂肪などを測定した。栄養調査はBDHQ質問票を利用した。検査結果の説明後保健指導を行い、目標を決め生活改善を勧めた。再検査は1回目の検査から約半年後で保健指導の約2ヶ月後に施行した。血液検査については再検査不要の項目を省略した。 遺伝子型は既報の日本人の遺伝子頻度と同様の割合で、血液検査はほぼ基準値内であった。葉酸値と総ホモシステイン値間で逆相関の関係となったが、遺伝子型と葉酸・総ホモシステイン値については型間に明らかな差はなかった。北海道は葉酸摂取量が低い地域で今回更に低い結果となったが、過小評価をふまえ推定エネルギー必要量を摂取していたと仮定した場合の摂取量と比較したところ、推奨量である240μgを超えていた。また、葉酸の必要性を知らず、栄養バランスに注意していない人が多かった。癌関連の項目では、子宮頸がんワクチン接種を受けたくない、または、受けていない人は全体の約6割で、約7割はがん検診に行きたくないと答えた。 再検査は62名で、遺伝子型の割合は前回とほぼ同様であった。血液検査は基準値内がほとんどで、葉酸値はCC間において有意に増えたが、CT、TT間で差はみられなかった。また、総ホモシステイン値は遺伝子間において差がなかった。葉酸摂取量は1回目と比べ有意に増加した。対象者のほとんどが食事などの生活習慣を変え、自分の健康のために役に立ったと評価した。 子宮頸がん発症のリスク因子の一つに葉酸欠乏が指摘されていることから、若年成人女性への葉酸摂取の必要性やがん予防などの保健指導の重要性が示唆された。
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