これまでの学校における歯の汚れの評価は、児童自身がワークシートに歯垢の付着部位を赤鉛筆で塗るという自己評価記録方法であり主観的なものであった。学校において歯の汚れを点数化し評価できる手法として、一般的に歯科医が行う歯垢評価方法にDI(Debris Index)があるが、DIの評価を上下の12前歯に適用したものをDI変法とした。この評価方法を養護教諭が実施できれば、児童の歯垢付着状態を客観的に評価し、児童に目的意識を持たせ、より高い保健指導の効果を期待できると考えた。本研究は、小学校6年生を対象に、歯の汚れの状態についてDI変法を用いた養護教諭と歯科医の評価の相関関係を検討することで、養護教諭による歯垢評価の可能性を検討することを目的とした。 研究の方法は、小学6年生児童を対象とし、歯垢付着状態の自己評価したワークシート及び歯垢染色口腔写真を用いて、歯科医(1名)と養護教諭(研究者)がDI変法を用い点数化、歯科医得点と養護教諭得点を統計処理し、その相関関係を調べた。 研究結果は以下のとおりである。 ○歯科医師と養護教諭のDI評価の相関関係について ・歯科医師によるDIの評価点の平均値は、1.38±0.67であった。 ・養護教諭によるDIの評価得点の平均値は、1.44±0.71であった。 ・歯科医師と養護教諭のDI評価のピアソンの相関係数は、0.831であり高い正の相関を示した。 ・歯科医師と養護教諭のDI評価点について、対応のあるt検定を実施したところ有意差は認められなかったよって、歯科医師と養護教諭のDI評価には差がないことが示唆された。 この結果から、DI変法による歯垢評価は、養護教諭にも実施可能な評価方法として提案できる可能性が示唆された。 今後の課題として、児童が自身の歯垢染色の状態をDI変法を用いて評価した得点と養護教諭、歯科医師の評価についても検討し、児童の評価の可能性も検討する。
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