○研究目的 本研究では、中学校において「ネット型」球技として扱うことの多いバレーボール教材において、小学校の学びをスムーズに接続する中学校第1学年の授業のあり方に対する知見を得ることを目的とした。 ○研究方法 男女差や個人差を解消する教材やカリキュラムの検討にあたり、文献や先進校視察で得た情報、生徒の「ネット型」の学習経験や愛好度等の実態、小・中学校の学習指導要領に記述されている指導内容を考慮した。立案したカリキュラムには、コートを狭くすること、キャッチを取り入れること、コートの人数を3人にすること等の簡易ルールを導入した。また、ボール感覚を養う予備的運動とオーバーハンドパスに特化したスキルアップドリル、二段階の簡易ゲーム教材を位置づけた。 学習成果の検証方法として、単元前後にバレーボールの愛好度調査を行い比較した。技能面では、ゲームの様子をVTRで撮影し、セッターのパフォーマンスを評価した。 ○研究成果 学習成果は次の2点であった。VTRを分析した結果、セッターのプレイ機会の約9割でトスを上げようとする姿がみられ、セッターの役割を自覚したプレイが行われたことが窺えた。また、ゲーム中のプレイヤーの動き出しが少しずつ早くなり、予測した動き、役割を意識した動きがみられるようになった。 また、単元前後の愛好度の変容において、好意的に回答した生徒が5割未満から8割以上に増加した。 授業実践の成果から得られた知見は、次の3点である。 ・バレーボールの愛好度を高めるためには、バレーボールの特性に触れさせることが重要である。 ・特性に触れさせるための手立てとして、「キャッチ」を取り入れたゲームを導入する、コート内の人数を少なくする等、ボール操作を容易にすることが重要である。 ・ボール操作を容易にすることは、プレイヤーに余裕を生み、意図的なボールのつなぎ方と役割行動の理解が深まる可能性がある。
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