本研究の目的は、養護教諭が自己の実践を振り返り、スキルアップにつなげるための指標であるスキルラダーの開発であった。 研究方法として、①養護教諭のコンピテンシーモデル(2014. 中村)をもとに作成したスキルラダーの試案(11業務別、能力別4段階)を現職養護教諭に提示し、グループインタビューを行った。その後、語られた内容を分析し、スキルラダー案を修正した。②修正したスキルラダー案を専門家集団で確認し、スキルラダー(Ver. 1)を完成させた。 研究成果としては、養護教諭の実践能力習熟段階を示すツールとしてのスキルラダー(Ver. 1)が完成したこと、さらに、スキルラダー(Ver. 1)が完成したことで、養護教諭の能力形成のための客観的な指標ができ、段階的な到達度が示されたツールが利用できることになったことである。これにより、養護教諭自身が、自己評価でき、自分のスキルの段階を把握し、自己に不足しているスキルを客観的に見極めることができ、その上で、自分が獲得すべきスキルが明確になり、スキルアップするための研修への意欲を持つごとが可能になった。研修会では、対象者のスキルに応じた系統的な研修計画を組むことも可能になり、研修後に到達度を確認することで研修の成果を評価できる。また、他者評価にも利用できる。 養護教諭の職務内容はますます拡大し、様々な健康問題に対処することが養護教諭には求められると考えられるため、スキルラダー(Ver. 1)は、求められる養護教諭の職務内容に応じて修正していく必要がある。
|